ベルリオーズ:幻想交響曲


この曲は4人のらっぱ奏者、すなわち2人のコルネット奏者と2人のトランペット奏者が必要です。コルネットは「コルネット・ア・ピストン」という名前が示すとおりピストンバルブを持った楽器で、トランペットはナチュラルトランペットを想定して書かれています。

現代では、コルネットとトランペットはよっぽど意識して吹かないと音色もあんまり変わらないと思います(とくにコルネットを、バックのふつうのトランペットのマウスピースと同じ形状の奴で吹いてしまうとほとんど一緒)ので、いかにトランペットの方をナチュラルトランペットみたいな音にできるかなー、と考えたりしていました。
でもナチュラルトランペットって、吹いたこともないし、間近で聴いたこともないので、どんな音がするのかよくわかりません。ふつうのB♭管のトランペットのピストンを全部押さえて(この状態でEの音が出る)、チューニング管をいっぱいに抜いて「E♭管ナチュラルトランペットだ!」と心の中でつぶやきながら吹いたりしていましたが、まともに吹けるわけありません。

さて脱線してしまいましたが、らっぱの聴かせどころはやはり第四楽章、第五楽章ということになります。第四楽章はあの行進ファンファーレですね。メロディはコルネットが主役ですが、本当にファンファーレ的な音型になると「ソー、ドッドドレー」と、トランペットが前面に出ます。第五楽章は鐘が鳴り響く「怒りの日」のところ、コルネットが休んでトランペットとホルン、トロンボーンがコラールを奏でます。

さて楽章が戻りますが、第二楽章ではコルネット・ソロを入れる場合があります。あのアーバンのために書いたというソロで、初めて聴くと違和感があるかもしれませんが、なかなか楽しいです。現在の音楽之友社版のスコアにはこのソロパートが書いてあるのですが、ほんとにアーバンのエチュードみたいなところもあり、とても難しそうです。